「ヴィーラヴも、、舞さんの手で全員殺してね」
何故だろう、引き裂くだの殴打するだのと息巻いていた筈なのに、その意欲が消失してゆく――。
「はっ――――」
礼子さんに取り憑いていた手と躰を離した――咳き込みながら上半身を起こした礼子さんは、死線から解放された喜びを、「あぁ」と声を漏らして表現し、ソファーの背もたれに深く体を預け無機質な天井を呼吸を整えながら眺める。
私はその隣にちょこんと俯いて座り、首を絞めていた手を白々しく両膝に置く――。
「どうしたの――」
「――――」
「私は殺せても、彼女達は殺せないという事かしら――」
「わかりません――」
「私は人間――ヴィーラヴはそうではない。それでも――」
「最初は皆殺したいと――――でも、今はわかりません――」
「何故、思い止まったのかわかる――」
「私には、わかりません」
「それはね――愛よ――」
「愛――――」
私が彼女達の何処を愛していたというのか。
「どういう意味ですか――」
困惑した――。
礼子さんが、私の両手を優しく取り、包んだ――。



