「礼子さん――あなたって人は――――」
爪を立て両肩を掴み、礼子さんをソファーへ押し倒し馬乗りになり、肩を掴んでいた手を美しい弧を描く首筋へと移動させる――。
「凄い形相ね――――綺麗な顔立ちが台無しよ――」
既に首を絞め始めている私に、尚も涼しい表情で礼子さんは声を絞り出す。
「どうして――どうしてそんなに余裕なんですか」
両手に力を込める。
「死にますよ――本当にいいんですか――」
「何――まだ迷っているの――もっと力を入れなさい――」
苦しい筈なのに、礼子さんは私を挑発する――生と死の境に追い込まれていても、弱気な姿勢を少しも垣間見せない。
「ぐげっ――」
吐く様に言った――体の反応は正直だ。強気な姿勢とて、首を絞め続けられて正常でいられる人間はいない――顔色も血の気が失せ始めている――。
「さ、あ、、一気に――――やって、、、頂戴――」
「はい――――」
「あ、、あぁ、忘れてたわ――――」
「私を殺したら、、、彼女達も全員――――お、、お願いね――」
「彼女達――」
何故か、力が失せた。



