「これからも、ヴィーラヴの傍にいて欲しい――それだけの事なのに――」
「そんな事――無理です」
「何故、無理なの――今までと何も変わらないのよ――」
「何を言ってるんですか礼子さん――変わっているじゃないですか、最も大切な部分が。人間ではないんですよ――――それなのに、変わらないなんて――欺瞞ですよ――――」
「それじゃあ、舞さんはどうしたいの――この事実を、そして舞さん自身のこれからを――」
「それは――」
俯いた――礼子さんの表情と声色も若干、苛立ちの感情が含み始めている。
「弱いわね――」
「えっ――」
「だから、何もかも離れてゆくのね――舞さんから」
「――――」
「うっ、うふふふっ――そう、だからなのね。あなたが身も心も捧げたあの男が去ったのも、誰のせいでもない――全ては舞さん自身が招いた己の弱さが原因――それを男のせいにして引き籠もり、自分の躰と心に嘘の泥を塗り、守る――――悲しい生き方ね。ふふっ、いいえ、ある意味喜劇かしら――――」
「ぐっ――」
理性も感情もその瞬間に消え、純粋な殺意が私を動かした。



