アイ・ドール


「ふあれぇ、泊まったんだぁマイマイ――」


 歯ブラシをくわえ、パジャマ姿のキャロルアンと「サウス」のエントランス近くで遭遇する――誰にも見つかりたくなかったが、平静を装い、言った。


「葵と流花が、皆に話したい事があるって――私は車で待ってるから――」


 一緒に万希子さんが作る朝食を食べようという魅力的なキャロルアンの誘いを断り、私は一人、運転席のステアリングに伏せ――泣いた――。





「あっけらかんとした告白だったよ――」


 葵も、モコに車内での一件を謝罪したと、ダンスレッスン開始前に詩織から聞いた――皆も葵と流花の関係を認め、見守ってゆくと――。


「そう――――」





 シークレットライブが3日後に迫る――レッスンスタジオや会場でのリハーサルが慌ただしく続く。時が過ぎているのに私の心は沈み、曇り続けている。葵と流花は、皆の前では互いの想いを「自制」し合い、私との約束を守り、他のメンバーとの関係も、より親密さと結束力が増した様に見える。



 ヴィーラヴが離れてゆく感覚――。そう勝手に思っては視線は黄昏て、心にまた1枚、灰色の雲の層が重なる――。