確信に満ちた力強い視線と声だった。
「これが、君の本来の姿さ。君が望めばいつでも、何処でも、こんなにもたおやかで豊かな表情ができる。心を閉ざし、他人を寄せつけない生き方なんて、下らないと思わないかい――」
「――――」
「本当に良かった。君の真実を捕らえる事ができたから――君が、君でいる為の、あるが儘の姿がここにある。素晴らしいよ――」
彼の背中越しから射し込む太陽の光に照らされた躰と眼差しが、放たれた言葉の真義を深めてゆく――。
「私――高樹 舞です」
「もっと、私を――私の心を撮ってくれますか――」
目の前に新しい世界が広がる予感がした。狭かった視野が一気に広角に広がる。
周りを見渡せば、綺麗な花が咲き、鳥達が唄っている。季節の変化にまでも鈍感になっていた私の躰が愚かしく思う。
彼との出逢いで、1日が終わってゆく時間の速度と密度が激変した。
永く、怠惰に満ちた過去の時間と、新鮮で躍動感が湧き出す時間との対比。
就職活動など、もはや眼中にはなかった。所詮、大学なんて所は、一流企業や安定した職業に就く為の「就職予備校」に過ぎない――。



