「でも、マイマイが本当に来てくれてアリス、嬉しい――正直、礼子さんに連絡しようかなって思ったりもしたけど、マイマイなら必ず来てくれるって思って。だからアリス、本当、本当に嬉しいっ――」
萎えた私の心を見抜き、アリスがしおらしく見つめ、言う。アリスの想いが心に響く――が、あの「台詞」を吐いたのだ。社長には報告しなければならない。
アリスが万引きし、あろう事か、真実を闇に葬り去ろうと画策し、実行した――「カネ」の絶対的な力によって。
再び気分が重くなる。
「でもさ、マイマイのあの最後の台詞、マジで格好良かったよっ――何か、真打ち登場って感じでアリス、背中がゾクッてしたっ」
重い気分の膜を乱暴に剥ぎ取る様にはしゃぎ、言うアリス。
「格好良くなんてないわ――」
テーブルに肘を突き、手のひらに頭をもたげ、外を見ながら吐き捨てた。
他の解決策はなかったのか――でもアリスを、ヴィーラヴを守る為にはあれしかなかった。私の土下座なんて所詮は戯言。いずれは社長の使者がカネを払うのだ――。
「そうでしょう、アリス――」
縋る目でアリスを見た――。



