「こらっ、やめろよ、なっ何だよっ」
アリスと多田坂が小競り合いを始めた――14歳とは思えぬ力で多田坂の抵抗を払いのけ、くたびれたジーンズの後ろポケットからスマートフォンを奪い取る。
「チッ、やっぱり――ほらっ、見てっマイマイ――」
画面には、階段を上がるアリスの下半身を狙った動画が、暗く画質がやや不鮮明ながらも再生されている。オーバーニーソックスに包まれた細い足首からふくらはぎ、適度に膨らんだ太股をつたい、マイクロミニのデニムスカートから見え隠れする秘部へと、アリスの躰を嘗め回す様に捉えている。
「何て事――」
私は多田坂を睨んだ――視線に耐えられずに多田坂は体を横に向ける。いやらしい行為が明るみになってしまった事態と焦りが、激しい貧乏揺すりとなって表面化していた――。
「ったく、このエロバカがっ――」
多田坂に罵声を浴びせ、卑猥な画像を「全て」消去するアリス。
その時だけ多田坂は顔を自分のスマートフォンに向け、アリスによって消し去られた快楽の種をいとおしむかの様に――
「あうううぅっ――」
そう気味の悪い声で唸った――。



