「で?恭平はこんな深夜に女の子連れ込んでナニしたいのかな?オーナーにチクってもいい?」
こちらを振り向かず、カウンターに肘を付きながら気だるそうに言う男性は、先程の『けいすけ』さんだ。
「バーカ!そんなんじゃねぇっつーの!外でびしょ濡れになってて、心配だからコーヒー……でも飲んで温まってかねーかなって……って!痛ぇっ!」
語尾がだんだん小さくなる『きょうへい』さんの背中をバシッと叩いたのは、金髪パーマの男性。
「そういうことなら、まぁいいじゃん!恭平はコーヒーの準備して?僕はこの子に貸す服を持ってくるから!この中でサイズが近いのは僕だけだし、ね。……おいでー?」
笑顔のままの金髪パーマの男性にグイッと手を引かれ、店内の奥へとずんずんと連れていかれる。
『けいすけ』さんの隣を横切る瞬間に振り向き、若葉は申し訳なさそうにお辞儀をした。横目に見えた『けいすけ』さんの表情は、おもしろくなさそうに視線を落としていた。
