何とかしたい。

何とか助けてあげたい。

苦しみや罪の意識を取り除けなくとも10年間も後悔し続け、自分を責め続けてきたのだ。

健太さんの残りの人生で、深い深呼吸と心からの笑顔がたくさん出来るようになってほしい!

…でも、それに相応しい言葉が見つからない。

歯痒く、やるせない思いで胸が詰まったその時、若葉の耳に確かに聴こえてきた。お父さんの声。


"若葉…花はね、強いんだよ。どんなに踏みつけられようが咲くんだよ。だから時間はかかってもその力を信じてあげるんだよ"


…そうだったね、お父さん。

いつも、いつも言ってたね。

いつも、いつも教えてくれていたんだね。

信じるって、許すことだよね。

信じるって、勇気の先にあるんだね。

信じるって、強くなれることだね。

「健太さん、お父さんとお母さんのこと、たくさんたくさん思ってくれてありがとうございました。私が何を言っても、後悔の波は止まってはくれないだろうけど…。もし私が両親だったら、きっと健太さんが一生懸命に幸せになることが何より嬉しいと思います。だって、両親の花屋の名前は…」


私に言葉は無いけれど…。
私にはお母さんが教えてくれた、たくさんの花言葉があったよ。

若葉は健太さんと同じ目線の高さになるよう屈みこんで、祈るような思いで健太さんの両手を力強く握り締めた。

「ムーンダスト。花言葉は永遠の幸せ。…青いカーネーションを作ることは不可能と考えられていました。けど10年以上の研究を重ねた結果、ついに成功しました。きっとお父さんも、お母さんも、…私も健太さんが永遠の幸せを手にすることを願っています。だから自分自身を許してあげてください。そして幸せになることを諦めないでください!お願いします!」