早く外に出たかった。
意識はどれくらい失っていたのか。家族に心配させていないか。まさか警察沙汰になっていないか、と不安要素は一瞬で膨らみ頭を混乱させた。
カツカツと手が壁に当たり、その音が扉だと分かると指を動かして、懸命に引っ掻ける部分を探った。
ある場所で金属の慣れた感触に指先が触れた。期待と、とりあえずの安堵で息を弾ませながら思いきり扉を開けた。
けれどそれはただの動作に終わり、右に動いたのは空振りした自分の右腕だけだった。
必死に半ば祈るような気持ちで、何度も、何度も手の平を扉にじっとり擦り付けてみるも、手だけがツルツルと滑るだけだった。
…閉じ込められた。
そう意識することを無自覚の部分が恐れていたのに、はっきりと全身で感じ取ってしまえば、とめどなく訳の分からない汗が噴出した。そういえば、鍵を鍵穴に差しっ放しにしたままだった。
誰が閉めた?…学校の関係者?まさか、チームメイト?
助けは?…明日、練習がある。けど、もし中止になったら?
誰が探してくれてる?帰りが遅いこと、もう気づいた?
「はぁ…」
ホント馬鹿だなぁ。
なにやってんだ、俺はよぅ…。
