憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


ざわざわと賑わいを見せる食堂。
人込みを掻き分けて、あたしはなんとか購買部の先頭まで辿り着いた。いくつかの菓子パンと紙パック飲料を2つ購入する。

「真ー知!」

「……げ」

「げってなんだよ。失礼なやつ」

そこには、なんだか上機嫌な千秋がにこにこ笑いながら立っていた。どうせ、純子と二人きりの時間を作れたことが嬉しいんだろう。

「おまえ、そんな食うの?」

「なわけないじゃん!」

千秋は、あたしが抱えているパンの数を見て、呆れたように目を瞬かせる。

「人の分も入ってるのよ」

「ふーん、あ、そうだ真知」

「なによ」

「今日、QSの集まりの日だろ。出る?」

「あれ、そうだったっけ?出るよ。特に予定ないし」

不定期にある集まりの日。
あたしはよくド忘れてしまい、その度に紗雪先輩になじられる。黙っていれば美人なのに、その女豹のようなキツさが玉に傷だ。前回もすっぽかしてしまったので、今日こそ出なければ。