憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「結衣?」

ぱっと離れた結衣ちゃんは、にっこりと晴れやかな笑顔を浮かべていった。

「もう、大丈夫みたい。充電完了したよ」

たっと足早に扉に向かう結衣ちゃん。
くるりと振り返って、大きく手を振った。

「尚、それに……、真知。ほんとうに、ありがとうね」

「結衣、ゲートまで送るよ」

「ここで十分。尚は、ここで真知とイチャついてなさい!」

強がりで、天の邪鬼。
弱いところを人に見せるのが本当に苦手で。そんな結衣ちゃんのことを、尚は誰よりも分かっている。

「結衣ちゃん……」

可愛くて、大人っぽくて、結衣ちゃんが笑うと不思議と胸が温かくなる。あたしはそんな彼女が、一人の女の子としてとても好きだった。あ、やばい……、泣きそう。

結衣ちゃんは、やれやれと肩を竦める。

「寂しいからって泣かないでよね。すぐに帰ってくるんだから」

そう言って、小さくウィンクをした。
「またね」と、駆けだしていく小さな背中。あたしと尚は、並んで結衣ちゃんの旅立ちを見送る。

きっと、すぐに会えるから。
寂しいと思っても、悲しくはない。その笑顔をまた見ることが出来るのが、今は心の底から楽しみだ。