「やっぱり尚の妹なだけあって、結衣ちゃん可愛かったな。連絡先聞いておけばよかった」
「残念だけど、千秋は結衣のタイプじゃないと思うよ」
さらりと尚が言うのに、千秋は口を尖らせて不機嫌そうな顔をした。ふたりのやりとりに、思わず笑いがこぼれる。
あの日から一週間が経った今日は、結衣ちゃんがアメリカへと旅立つ日だった。
『尚のことは、どんな形になってもやっぱり特別に好き。真知のことは、まあ嫌いじゃないかな』
そんなメールが次の日に届いた。
なんだか、あまりにも結衣ちゃんらしい文面が嬉しかった。結構辛辣に書かれているけど。
尚が言うには、やっぱり美香子さんの性格はそうそう簡単に変わることもないようで、連絡する度に嫌みをぶつけてくるから、なるべく会いたくはないらしい。それでも、美香子さんが今回のことを葉山章吾さんに伝えなかったのは、彼女なりに思うところがあったのだと思う。
妙なところで意地を張る尚は、それを認めようとはしなかったけど。
「そろそろ、行けば」
「……まだ時間あるし」
「いいから!結衣ちゃんが待ってるだろ」
腰を重くして立とうとしない尚を、千秋が引っ張り上げた。
眉をしかめながら玄関へと向かう尚の背を、じっと見つめていた。

