憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


やっぱり。

なんだかんだいってこいつ、結構いい奴なんじゃないのか。
あたしに対して悪態をつくのは謎だけど。


「ご……ごめんね。あたしのせいで……」


思わずそう言う。
すると、意外そうな表情で尚が目をこちらに向けた。流石なことに、手は動いている。ブラインドタッチが出来るんだ。

「……別にいいけど」

時計を見ると、十二時半を指していた。
気づかないうちに昼休みに突入していたらしい。ここは校舎から離れているために、鐘の音はあまり響いてこないのだ。

「あの、あたし、お昼ご飯買ってくる」

返事はなかったので、そっと尚の隣を離れてホームから出た。桜の花びらがヒラヒラと舞う中で、ゆっくりと伸びをする。緊張のせいで凝り固まった肩がごきごきと嫌な音を立てた。