憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


細くて、少し骨ばった綺麗な指がカタカタとキーボードをたたいている。

あたしは、空になったカップに紅茶を淹れる。ふわり、部屋に漂うダージリンの香りが鼻をくすぐった。

「……あたし、手伝わなくていいの?」

「違うでしょ、手伝ってるのは俺の方だよ」

「あ、そっか」

呆れたように尚が小さく溜息をつき、すぐにあたしから視線を外して休みなくキーをたたき続ける。

「真知が操作するより、こっちの方が効率がいいからね」

「……左様でございますか」


あれから2時間が経過している。
課題を優先したために、あたしは授業をさぼってしまったのだけれど、尚は?もしかして、行かなかったのだろうか。そうだとしたら、さすがに申し訳なさ過ぎる。


「尚……、2限の授業どうしたの?」

「さぼったけど、何」

話しかけるあたしに、鬱陶しそうに言葉を返す。