憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


いつだって人を寄せ付けず、凛として、その心は孤高ゆえに孤独。出会った頃の尚は、まさにそんな感じだった。

「な……、なによ」

まさか、こうして一緒に海に来て、目の前で彼が声を上げて笑うところを見られるなんて思いもしなかった。
いつだって憂鬱そうだった王子が、小さく身体を折り曲げて苦しそうに笑いを漏らしている。

「ねえ、いい加減腹立つんですけど」

尚は、ゆっくりと頭を持ち上げてあたしへと手を伸ばした。
指先があたしの髪の合間に触れる。

どきりと心臓が跳ねた。

「クラゲついてる」

「……ぎゃあっ!と、とと、とって!!」

「冗談だよ。これ、海草?食べられるのかな」

「どっちでもいいわ、そんなもん!」

ずるりと、あたしの頭を滑る感触に身震いする。
喚き散らしながら、ぺしゃんと海草を海へと叩きつけた。