憂鬱なる王子に愛を捧ぐ



「ほんとうは、今日尚と一緒にいたかったんでしょ?」

「……そりゃぁ、冷蔵庫にお酒しか入れとかない真知といるよりは」

―あれ、なんか段々と結衣ちゃんの本性が垣間見え始めてるんですけど。ちょっと、あたし涙目。

「でも……」

言い掛けた結衣ちゃんの横顔は、ハッとするくらいに寂しげだった。

「私……、尚に嫌われてるから」

「そ、そんなこと」

「ほんとうだよ。だって、私」

ぎゅっと傍にあったクッションを抱きしめて、吐き捨てるように言う。

「なんで、こんなこと初対面の真知に話してんだろう。ごめんね、なんだか疲れたからもう寝る」

「うん、おやすみ……」

缶ビールをぐっと飲み干して、部屋の電気を消した。
背を向けてベッドに潜り込む結衣ちゃんの背中を思わずじっと見つめる。