憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「はぁ」

ペットボトルの水をごくごくと飲み干して、ひといきつく。

「だ、大丈夫なの?」

「うん。ただのビタミン剤だもん。これ飲まないと落ち着かないのよね、また肌荒れ繰り返しちゃいそうでさ」

強がりらしい、彼女の嘘だろうとは思ったけれど、出会ったばかりのあたしが根掘り葉掘りきくわけにもいかず、それ以上言えることは何もなかった。

ベッドにうつ伏せでごろりと寝転がった結衣ちゃんは、足をぱたぱたさせながら視線だけあたしへと向ける。

「ねえねえ、尚って、素敵でしょう」

「ええっ」

自慢げに言う結衣ちゃんに、思わず声を上げてしまうあたし。薬が効き始めたのか、彼女の顔色も少しだけ良くなってきた気がする。

「あんなお兄ちゃんがいるとさ、結構不幸よ。だって、他の男がみんなカカシに見えちゃって、恋愛する気が起きないんだもん」

「は、……はぁ」

そういう、ものなのかな。
口を尖らしながらそういう結衣ちゃんに、あたしは曖昧に頷く。