憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


"契約の"なんだけど、なんて絶対に言えない。
妹の結衣ちゃんにこんな嘘を吐くのは、正直とても嫌な気分だ。

「尚、趣味変わったのかな」

「え?」

「だって、これまで尚の隣に並んでた女って、眉目秀麗で清楚なお嬢さま系が多かったしさぁ」

―……。
唖然とするあたしに、結衣ちゃんはにやん笑う。

「遊ぶだけなら、もっと楽なの選べば良いのにね」

「結衣ちゃん!!」

この子、結構デンジャラス。
からからと元気良く笑うのに、結衣ちゃんの顔は酷く青白い。時折、小さく眉を寄せるのが気になった。

「……ね、結衣ちゃん?」

だいじょうぶ、そう問いかけようとした瞬間、結衣ちゃんは「ちょっと、ごめん」と言って立ち上がり、ボストンバックを慌てた様子でがさがさと漁った。

可愛らしいピルケースに分けられている薬を大量に取り出して、一気に口へと放り込む。とても慣れた手つきで、これは彼女の習慣なのだとわかった。