憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「また千秋の話?」

「……また?そんなにしてるかな」

「してる。口を開けば千秋千秋って、真知には千秋のことしか話題がないの」

尚が何に怒っているのか理解が出来ず、ぱちぱちと目を瞬かせる。

「ムカつく」

「え、ご……ごめん」

とりあえず謝って見せるも尚はどこか不満そうだった。
手に持った林檎飴をくるくるとまわしながら、溜息をつく。

「別に、怒ってなんかない」

「そ、そうですか」

「ただ、あれから千秋が勝手に俺の顔色窺ってはおろおろしてるの見んのは結構面白かったけど」

「性格悪いよ」

思わず呟けば、尚は可笑しそうに笑った。

「千秋が興味本位だったわけじゃないことくらい、わかってる」

「……そっか、そうだよね」