憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「ハワイ行こうよ」

「は?ひとりで行けば」

「……まったく、取り付く島もない」

あたし達は、人混みから外れた場所にあるベンチに座りながらのんびりと誠東祭を眺める。すっかり日も落ちて、飾られた提灯には淡いオレンジ色の光が灯った。

じわりと首筋に浮かぶ汗に、一足早い夏を感じる。

手に持ったかき氷が、熱でさらさらと溶ける。ストローでは上手にすくえなくなって、仕方ないからちゅうちゅうと吸った。かき氷はブルーハワイが好き。サファイアみたいな色がとても綺麗。

ぺろりと人工の青色に染まった舌を尚に見せれば、あからさまに眉を寄せて「きもい」と言われた。酷いなあ。

「……ねえ、そろそろ千秋のこと許してやんなよ」

ちあき、という単語を出せば、尚はムッとした様子だ。
まだ怒っているのだろうか。

尚を怒らせてしまってからの数日、千秋はどことなく元気がない。あたしが何を話しかけても無駄だった。