「結構賑わうものなんだ」
すれ違う女の子が、ちらりちらりと尚を盗み見ているのが分かる。
尚は、それをちっとも気にする素振りもなく、屋台で買った真っ赤な林檎飴を舐めながら関心した風に言った。
「うん。でも、秋にある文化祭が一番盛り上がるよ。あ、そうだ!尚、今年のミスターコンテスト出なよ!」
にやにやしながら言えば、尚は低俗だな、といかにも人を馬鹿にしたような目でこちらを見た。
「絶対嫌だ。面倒くさい。更夜さんに頼めば?それこそ確実に優勝を狙えるんじゃない」
「……紗雪先輩が怖くて無理なのよ、それは」
紗雪先輩のガードはすさまじい。
誰かが声を掛けようものなら、あらゆる手を使って阻止してくるに決まっている。
けれどこの誠東"ミスターコンテスト"、優勝者は勿論のこと、推薦者にも豪華な賞品が用意されているのだ。昨年は、確かハワイ旅行だった。一度も国外へ出たことのないあたしにしたら、まさに咽喉から手が出るくらいに欲しい品なんだけど。

