憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「関係ないだろ」

「なんだよ、それ!関係なくなんてないだろ!?」

「ち、千秋!いいじゃん、別に!!」

吐き出された言葉に、千秋は驚いた様子で大きく目を見開いた後、カッとして尚に食って掛かる。あたしは慌てて腕を引いて千秋を尚から引き離した。

千秋の気持ちも、分からないでもなかった。もどかしいんだ、きっと。千秋は、尚に友達として頼られる存在になりたがっているから。自分が尚に助けてもらったように。


―……でも。

尚の顔を見て、背筋が冷える。
千秋も、あたしの横で小さく息を呑んだ。

「俺に、どうして欲しいわけ?チケットさばきたいなら他を当たってくれる」

漆黒の瞳に、確かに揺らぐ闇色はあまりに深くて、そのまま捕えられてしまったかのように目が離せない。

怖い。
あたしは、尚に対して確かにそう感じていた。