憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「それじゃあ、俺達はこれで。お忙しいのにありがとうございました」

「ああ、また何か変更が出るようなら早めに教えてくれると助かるよ。宜しくな」

玄関まで見送りに出てくれた原さんに頭を下げて、あたし達は椿園を後にした。
空はすっかり濃紺に染まり、ちらちらと小さな星が散っている。

「ことしも、原さんの花火でフィナーレ飾れてよかったよな」

「本当、香夏子さんのお陰だよね。特等席用意して待ってなきゃね」

「ああ、そうだな。というか、俺達の分の一般者用チケットも用意しておかなきゃな。事前申請しなきゃなんねえし、忘れないうちに印刷しとこう」

「千秋の両親とうちの両親で4枚?どうせ仲良く四人で来るでしょう」

千秋は、指折り数えていた手をピタリと止めて、後ろを歩いていた尚に向けてくるりと振り返った。