憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「……と、いうことで。とりあえずスケジュールとしてはこんな感じだ。花火は工場から直接運ばせるから、現場入りは15時だな。去年と同じ立ち位置で場所を確保しておいて貰えればこっちで調整出来る」

「わかりました。それじゃあ、お願いします。っと、そういえば」

千秋は、ごそごそと鞄の中から封筒を取り出す。
そこには誠夏祭の一般者参加用のチケットが4枚入っていた。

「今年から、一般者の入場も可能になったんです。もしよければ、原さんのご家族もご招待させてください」

「ああ、それはいいな。こないだ、また誠夏祭で花火を打ち上げると話したら、香夏子(かなこ)も久し振りに母校へ行きたいと言っていたんだ。そうか、去年以上に賑わいそうだな。千秋たちも家族を呼ぶのか?」

「ええ、俺と真知は親同士仲良いんで、たぶん一緒に来ると思います」

楽しそうな原さんと千秋の会話に相槌を打ちながら、ふと尚を見る。
相変わらず無表情のまま、サクサクとスイカを齧っていた(…スイカ、好きなのかな)