金曜の夜とあって、街は日が暮れかけても随分と賑やかだった。
週末を前にテンション高いサラリーマン達や、恋人、色々な人達が溢れかえっている。
「下手したら逸れそうだな。真知、ヒサに手ぇ繋いでもらえば?」
「や、やめてよ!」
思わず真っ赤になって抗議すれば、尚はとても冷静に「俺、子守りとか苦手なんだ」と言われていらぬショックを受けた。千秋の馬鹿。
あたし達は、毎年お世話になっている花火師さんに挨拶へと向かうため商店街を抜けて20分程川沿いを歩く。
誠東から一駅分程の距離にある椿園(ツバキエン)と呼ばれる地区は、大正時代から続くような和菓子の老舗店や民宿・料亭などが軒を連ねている。
その一廓に、花火師大元締めである原さんの事務所兼自宅が構えられているのだ。

