憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


涙目のあたしに対しても容赦ない。千秋は、お構いなしにスパルタだ。
けれど、そのお陰であたしはなんとかテスト範囲の内容を頭に叩き込むことが出来ている。なんだかんだで教え方が上手いのだ。

その点、尚はあまりそういうのに向いてない気がする。
一度だけ勉強を見てもらったときには、かなり感覚的で大雑把な教え方で、最終的には"どうして分からないのか、俺には心底理解出来ない"と言って匙を投げられた。

千秋がヤマかけした物理の問題を一通り解き終わったところで、手元にあった千秋のケータイがチカチカと光る。画面には"ヒサ"の二文字。
千秋は嬉嬉とした様子で電話に出ると、いそいそと窓際に向かった。