憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


そう言って申し訳なさそうに口篭りながら紗雪先輩に視線をやる。紗雪先輩はそれをしっかり無視して、艶やかな笑みを浮かべながら「やれるわよね」とあたし達を見た。

「可愛い後輩は厳しく育てる主義なの。嬉しいでしょ?真知」

「……はい。ありがとうございます」

紗雪先輩は、あたし達と純子との間にあった出来事の一部を知る唯一の人。
きっとさりげなく配慮してくれたことに感謝をしつつ、純子の代わりに違う人を助っ人としていれてくれない辺りはやっぱり厳しい。

「真知……、お前、絶対文句言うと思ってたのに。成長したな!」

更夜先輩が感激した様子であたしの両手を握り締めてくるのだけれど、先輩の中であたしってどんな人間に映っているんだろう。

憧れの先輩の前じゃ、結構頑張っていたつもりなのに。そのまま項垂れていると、紗雪先輩が強引にあたしを更夜先輩から引き離した。(相変わらず、ヤキモチ妬きだ)