憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「どっちの立場が優位かな?あんたと俺」

純子は瞬きすら出来ずに、呆然と尚を見上げる。声すら上げられずに、ただ恐怖に引き攣るような呼吸の音だけが半開きの口から漏れていた。

「あんたの言いたい事はわかってる。いいよ、別にあんたのしていることはバラさないでいてやるよ。その笑える演技でこれからも生活すればいい」

「絶対、よ」

「その代わり、これ以上不快な思いさせないでくれる。意味わかるよね」

尚はゆっくりと笑みを浮かべた。少し、楽しそうなのは気の所為でしょうか。

「俺達に関わるな」

弾かれたように純子はホームを飛び出した。入れ代わりに入ってきた千秋がドンとぶつかる。

「っ痛ぇ…、て……純子?」

「邪魔よ……!馬鹿!」

なんとかふらつく足で去っていった純子を呆然と見つめている千秋。何かを察した様子で、あたし達に向かって肩を竦めた。