あの田丸が楽しそうに笑っている。
尚は学生だけでなく、教授受けも抜群に良い。「ありがとうございます、楽しみです」そう言って微笑む様はどこからどうみても爽やかな好青年だ。

「……猫被り」

「助けてやった恩人にその口の聞き方は感心しないね」

スタスタと歩きながら、ボソリと呟くのだから怖い。あたしはそれ以上何も言えずに尚の後をくっついて歩く。

「この忙しい時期に、足を引っ張るような真似しないでくれない?」

「ごめんって」

「更夜さんも、いい加減呆れてたよ」

「そ……そんな……!」