憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「なんていうか、生活感ねぇな」


千秋がぼやく。
あたしも素直にそれに同意した。

もの凄く大きな薄型テレビ、パソコン、冷蔵庫にベッド、ソファ、ローテーブル。あとは分厚い書物が数冊、綺麗に棚に並んでいた。

とにかく黒を基調とした部屋には生活必需品しかない。
綺麗すぎるくらいに綺麗な部屋。

「その辺腰掛けていいよ」

あたしと千秋はソファに座る。

「尚、あんた金持ちの子だったのね」

「稼ぐ方法ならいくらでもあるよ」

尚は事も無げにそんなことを言った。学生しながら、こういう部屋に住める程度に何かしらやっているらしい。
(どうでもいいけど、なんか怪しい事業じゃないでしょうね)