憂鬱なる王子に愛を捧ぐ



「……千秋、ごめんね」

「え?」

「また、余計なお節介やいちゃったね」

千秋の色素の薄い瞳が、小さく揺れる。

ずっと大好きだった幼馴染。
15年間、思えばよく好きだと言わなかったものだ。

大声で喧嘩したり、笑ったり、泣いたり、とにかく四六時中ずっと一緒にいて、時には言わなくていいような酷い言葉も沢山吐いた。

なのに。

ずっと"好き"の二文字だけは言えなかった。
それだけは、咽喉の奥につかえて、出てこなかった。

「あたしも行くよ。尚のところ」

「……ああ。ヒサにも、無理させちゃったよな。あいつ、こういうこと絶対苦手なはずなのに」

千秋は寂しそうに笑う。
まったく、なんて顔してるんだろう。

"俺、真知に彼氏できたら、寂しいと思うんだろうな。絶対"

いつだか千秋が言った言葉。まったく、勝手なオトコだ。