憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「私、本当は知ってたんだ」

「……何を?」

「真知、ずっと千秋君のこと好きだったんだよ。そのことを知ってたくせに、私が千秋君好きになっちゃったから。だからきっと、真知は怒ってるのね。悪口言うのも無理ないよね」

「な、何言ってんだよ!真知は、ヒサと付き合ってんだぞ!!」

「辛かったんじゃないかな、真知も。千秋君に気づいてもらえなくて」

悲しそうに目線を横にずらして、呟くように純子が言葉を続ける。

酷い、ほんとうに。
思わず自分の拳を握り締めていた。

あたしは、一歩を踏み出していた。
後ろで「真知」と、尚が呼ぶけど振り返らなかった。

野次馬達が一斉に反応するけど、そんな雑音は全部無視。

あんたにだけは、千秋は渡せない。