「私、千秋君のこと、好きだよ」
「俺だって純子のこと好きだ。じゃなきゃ付き合わないよ」
「だったら!なんで信じてくれないの!」
一際高い純子の声が講堂に響いた。
それまでこの騒動を知らなかった学生達もが、驚いてこちらを振り返る。
「佐伯君、最低じゃない?女の子あんなに泣かせて」
ぽつりと呟かれた声。
野次馬達の、千秋への悪口と純子への同情に耳を塞ぎたくなる。
ひとりひとり殴ってやりたくて仕方ない。
全部計算通りなのだ。
純子は、演じている。
千秋を悪者にして、おそらく誠心誠意向合った素振りで別れを告げるつもりなのだろう。
こんなにも目立つ場所で。

