憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


今にも泣き出しそうな顔をしている純子と、罪悪感を滲ませる千秋。
近くにいる学生達は、千秋と純子の様子を遠巻きに見つめてひそひそと話をしている。

「佐伯君と椎名さん、別れ話?」

「……え!?最近ずっと一緒にいたけど、流石に早いでしょ」

「でも、純子泣きそうだよ。なにかされたのかな、可哀想」

少し離れたところから様子を窺う。
これじゃ、誰がみても千秋が悪者みたいだ。

「酷いよ……、千秋君」

「……違うよ、ただ俺は」

「ずっと一緒にいて、気づかないわけない。千秋君は、私のこと全然信じてないよね。疑ってるよ」

うっすらと目元に涙を浮かべて、必死に千秋を睨みつけている。
声は小さくて、断片的にしか聞こえてこない。

だからこそ、周囲の人間には見たものが全てに映るのだ。