憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


特に何を話す訳でもなく、あたしは3杯目の珈琲を飲み終えた。

今何時だろうと、腕時計を見て驚く。
いつの間にか、21時を過ぎている。

あたしは、一昨日の朝帰りでお母さんを心配させてしまったので慌ててメールで遅くなる事を連絡した。

『真知……!今日はお赤飯ね』

家に帰って来たあたしにそんな第一声を放った母親にあたしは思いっきり肩を落としたばかりだ。

「尚」

「……なに」

「なんか飲む?」

空になった尚のカップを指差しながら聞く。尚は、その涼しげな目元を眠そうにこすりながらあたしを見た。

「なんかうまいやつ」

「アバウトだなあ」

「煩いな」

頬杖をつきながら、面倒くさそうにあたしへ空のカップを突き出した。
邪魔だから戻しておけと言いたいらしい。この王子、絶対ドリンクカウンターとか行ったことないに違いない。さっきから全部あたし任せ。

しぶしぶ、あたしはコーラとオレンジジュースを取って戻る。