憂鬱なる王子に愛を捧ぐ



  ***

「……紗雪先輩、何か知っていたのかな」

尚がさしている傘に入れてもらいながら、あたしはぽつりと呟いた。それを聞いた尚は、小さく眉を寄せる。

「それより先に、言うことはないわけ」

「へ?」

「わざわざ呼び出されて、いい迷惑」

「わわ、ごめん、ありがとう」

聞けば、どうやら紗雪先輩はいつの間にか尚にメールを送っていたらしい。返信が来るまでしつこいくらいに。

「あの人は、侮れない」

「え」

「真知。金ある?」

「少しだけなら」

「よかった。珈琲奢って」

「うん……。て、はァ!?」

声を上げると、尚はぱっと傘をあたしからずらした。

「ちょ、濡れる濡れる!」

「迎えにきてやっただろ」

「す……すみませんすみません……!奢らせて頂きます」

それでいいんだよ、と尚はあたしへと傘を戻す。何をするにもやっぱり偉そうなんだからなぁ。