憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「どうしてここに?」

「紗雪さんに呼ばれた。大丈夫?真知」

あたしを気に掛けるような声音に反して、その表情は酷く不機嫌そうで、あたしは内心ヒヤリとする。

(もちろん背後にいる先輩には見えていない)

あたしが恨めしげな視線を先輩に向けると、先輩は後ろで小さく口を尖らせた。

「あら、だって私じゃあ、いつまで経っても真知が立ち直らないと思って」

「……だからって」

「行くよ」

「え、ちょっと!」

「私の部屋着でいいなら着て帰っていいわよ」

この格好で!?トレーナーにジャージなんですけど!訴える様に二人を見る。尚はお構いなしにあたしの腕を引く。

「大丈夫。誰も見てない!」

小さくウインクした紗雪先輩。本当のことだろうけど、それはそれで切ないです。

「あの、紗雪先輩……!」

腕を組みながらあたしに向かって首を傾げる。
あたしは小さく頭を下げた。