憂鬱なる王子に愛を捧ぐ



  ***

「ちょっと、真知!!」

教室に入った途端、待ってましたとばかりに数人の女子に取り囲まれた。きつい香水の匂い。その顔触れは、普段殆ど話したこともないような子達ばかりだった。

「な、何よ……」

「千秋君と純子、付き合うんだって!?」

「どうして、そのことを」

「美香と多恵が言いふらしてんのよ。ていうか、やっぱり本当なのね!」

パンダメイク女子が、瞳を潤ませる。他の子も互いを慰めあいながら大袈裟なくらい肩を落としている。

「でも、純子じゃ勝ち目ないか」

「そうよね」

「やっぱり千秋君レベルになるとね。尚君の趣味はちょっとわからないけれど」