憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「何言ってんだよ。真知だけは、ずっと俺の気持ち知ってただろ?」

どうしよう、どうしよう。
気の利いたことを何も言えずにいるあたしに、千秋は困った顔をする。

「どしたんだ、真知?もしかして、寂しい?」

「ち、違うわよ!馬鹿!!」

思わずドカッとドついてしまう。
痛い、そう言いながら脇腹を押さえている千秋を見ながら、これまでの出来事を思い返した。

あの日の研究室、そして掲示板での彼女達の"計画"では、千秋に告白させようという段取りだった。
だから、本来であればもう少し時間の猶予があったはずなのだ。

それなのに。
頭がよく、狡猾で、更にプライドの高い純子がそれを崩して千秋に告白をするなんて。よっぽど、追い詰められていたのだ。

追い詰めたのは、尚。