ジリジリジリジリ…―――!
耳を劈くような目覚まし時計のベルを、力任せにバシンと止めた。

のそのそと起き上がって、冷たい水で顔を洗う。
自然と眉間に皺が寄ってしまっていて、そっと人差し指で伸ばした。

ブラックコーヒーで目を覚ましながら、ゆっくりと昨日の午後の出来事を思い返せば、ずきりと胃に痛みが走る。

あれから、なんだか心配になって千秋に電話したけれど、電話にも出ず、メールの返信もない。道路を挟んだ向いに見える千秋の部屋には、結局深夜になっても電気が灯ることはなかった。

嫌な予感がした。
ゆっくり朝ごはんを食べる気にならず、コーヒーだけ飲み干して席を立てば、お母さんが目を丸くしてあたしを見つめた。

「真知、どうしたの!?あんたが食べ物を残すなんて」

「ちょっと食欲ないだけだから」

「珍しい事もあるものね。今日は雪かしら……」

暢気にそんなことを言うのに思わず溜息を吐いた。