【短】そらとタイヨウ




「…………そ……ら?」


信じられない考えが、俺の頭に浮かんだ。

ま……さ…か……。


「……私だよ、そらだよ、タイヨウ。

…………覚えてない?」


そらは…悲しそうにこちらを見上げると、そっと首の赤いマフラーを解いた。


チャリン―……


「…………っ!」


それは、俺があの日そらにあげた太陽のペンダント。

本物の日の光を反射しキラキラと輝いて、今まで隠れていたその姿を現した。



「ほんとに………そらなのか?」

「そうだよ?」


信じられなかった。

目の前にいるこの子が、俺が長年探し求めていた、

……あの"そら"なんて。



「ほんとに、ほんとに……そら?」

「そらだって」


そらは優しく微笑んだ。


言われてみれば、思い当たる箇所は幾つかあったかもしれない。

初めて会ったとき、どこかで見覚えのある顔だと思ったのも。

初対面だと思っていた彼女に、こんなに心を開けたのも。


彼女が"そら"だったから。

できたんだと思う。




そっと彼女の手を握ると、俺はその存在を確かめるかのように、

強く、抱きしめた。