だんだん、だんだん…
その空は、俺の中で蔑むかのようにぶくぶくと膨らんでいった。
俺は、この狭い檻の中でただ一人。
空は今この瞬間も、自由になんの拘束も無く、街を人を俺を、見下している。
そのあり得ないほど大きな違いが、時間を経ていくうちに、
俺の中で羨望と憎悪と絶望を生み出した。
いくら頑張ったって、もう…あの"そらの笑顔"は見れない。
空を見るたびに、多大な圧力と、悲しみが、否応なしに俺の中を満たすようになった。
何年後かには、もう俺の中で空は、負のイメージしか無くなっていた。
その間、一回でもそらの本当の笑顔を見たら変わっていたかもしれない。
この大きな空を、そらとして、俺の生き甲斐として、見続けられたかもしれない。
でも、いくら頼んでも子供の俺に、大人の意志を動かす力はなかった。
俺のペンダントがそらの小さな手に渡ってから、12年間。
1度もそらには会えていない。
もう正直顔もあやふやで、見ても分からないかもしれない。
高校2年になって、何故か親父がこの街へ俺を送り飛ばした。
でも、24時間の監視付き。
俺にはもう……絶望しか無くて。
監視の目を盗んで登ってきたここから覗ける地面を、俺の最後にしようと決めたんだ。

