【短】そらとタイヨウ



そして、何故か壁に寄りかかって座っている彼女の隣に、俺も座っている。


何なんだ?この状況……


俺の隣では彼女が嬉しそうに、持ってきた弁当を広げていた。


何故ここにいるのか?

お弁当を一緒に食べる友達はいないのだろうか?

俺を、追いかけて来たのだろうか…?

この子は誰なのだろうか?


疑問に思うことは沢山あったが、口にだしては聞かなかった。

例え明確な答えがもらえたとしても、俺には関係のないことだ。



膝の上に腕を乗せると、そっと頭を埋めた。

はぁ。

計画が狂いすぎて、頭がおかしくなりそうだ。


少し睨むように隣を横目で見やると、何を勘違いしたのか。
彼女は俺の顔を覗き込むように見ると、おにぎり食べる?と、まだ手のつけていないおにぎりを差し出してきた。


「………いらないよ」

「はい、どうぞ」

俺の声が聞こえなかったかのように、当たり前のように彼女は膝の上にそれを置いてきた。


いらないっつってんのに……

こいつ、人の話が聞けないのか?




何気なしに、そっとおにぎりを持ち上げてみる。
よく見ると、太陽の光に反射して、米一粒一粒が綺麗に輝いていた。


初めて見た、こんなの。


「すげーな、これ」

「でしょでしょ!」


意味、分かってんのか?


絶対意味分かってないと俺は判断したけど、なぜか彼女はとても嬉しそうだった。