「そら!知ってるか!

太陽があるから、空は明るいんだぞ!

太陽が笑ってれば、空も笑うんだぞ!

だから……だから……」


そういつもの癖を言って、唇を噛んで涙を堪えるタイヨウは、どう見ても笑えてない。


「タイヨウが泣きそうだから私も泣くの〜!」


私の顔はもうぐちゃぐちゃだ。


「な、泣いてなんかない!

だから、だから……


……これ、やる」


「………ふぇ?」


今までギュッと握りしめられていたタイヨウの小さな手が開く。



「……お日さま?」



それは、小さなペンダント。



「違う!太陽だ!

これがあれば、そらは笑ってられるだろ?」



この時のタイヨウの笑顔を私は今でも忘れられない。




「…………ありがとう!」





5才の春。


私の初恋の人が引っ越した。


淡くて切ない大事な思い出。