あたしがドキドキして見たら
一瞬だけ目が合ってすぐに逸らされた。
「だよね……………、」
あたしは下を向いて呟いた。
「どーもーっ、」
そう言って目を合わせずに碧斗くんは
通り過ぎようとしていた、
すれ違う瞬間背中をトンと叩かれ
後ろを見たらピースサインを
向けながら前を歩く碧斗くん。
「ばーか………」
もう無視されたかと思った。
嫌いになったかと思った。
安心感からかあたしの口元は
やんわり緩んで、それを見た優奈が
嬉しそうに抱き着いて来た。
「暑いんじゃないのー?」
笑いながら優奈に問い掛けたら
「まゆの方が暑いわー!」
意味不明な発言をしてニヤニヤ笑った。
気持ち悪さ三割増しの優奈のニヤニヤが
嬉しくて、あたしも笑みが零れた。
