〜碧斗Side〜
俺は世界で一番バカかもしれない。
葉山さんが先輩に告白している所を
見た俺は、先輩の背中を押した。
「俺、バカだろ……、」
しかも心配になって先輩達の後を
追った俺が見たのは名前を呼び合う
二人、と笑っている先輩。
緊張してんのか笑顔が引きつってて…
俺が知るはずもない、女の子の先輩
「帰ろ…」
ボソッと呟いて俺はグラウンドへ戻った。
一番近くに居たはずの先輩を
突き放したのは紛れもなく俺で、
当然って言えば当然のことだった。
「麻雪……か、」
俺が呼びたかった名前を呼んで居るのは
俺じゃなくて、葉山さんだった。
もう先輩は部室に来ない。
もう先輩と気軽に話せない。
最初に戻ったんだ。
俺は自分にそう言い聞かせた。
