「えっと………」
「よかったじゃん、先輩。」
頭の上から聞こえる聞き慣れた声。
「…あおと、くん……」
「先輩、葉山サン好きだったもんなー」
わざとらしく笑う碧斗くんと
頬をほんのり赤らめる葉山くん。
「幸せなんなよ?先輩。」
碧斗くんの笑顔が痛かった。
「もう部室立ち入り禁止だよ?」
碧斗くんの優しさが痛かった。
「俺、応援してるから。」
碧斗くんの言葉が痛かった。
「武内、こっち来て…」
葉山くんがあたしの腕を引っ張る。
嬉しいはずなのに嬉しくなくて
碧斗くんに違うよって言いたかった。
もうそんなんじゃないよ、って。
でも、あたしにはこんな嬉しそうで
幸せそうな葉山くんを裏切って
応援してくれてる碧斗くんを裏切って
自分の気持ちを貫き通すなんて、
そんなことはあたしには出来なかった。
あたしは、ほんとに馬鹿だ………
