「つぎ!碧斗様だよ!!」
隣の優奈の方がテンション高い…
なにがそんなに嬉しいのか分からない。
「よーい、ドン」
その掛け声で真剣な表示の碧斗くんが
くじが置いてある箱を目指して
走って来る。近付いて来る。
「碧斗様!箱にたどり着いたよ!」
周りの女子同様に騒ぐ優奈。
あたしにはなにがそんなに楽しいのか
よく分からなかったけどね。
「麻雪っ!!!!!」
でかい声であたしの名前が呼ばれる。
「は、はい!」
あたしも返事がでかくなった。
だって、だってだってだって……
あたしの名前、呼んでくれたから。
「いきなりごめん…一緒に走って…?」
あたしの名前を呼んだ人は、
あたしの腕を掴んだ人は、
あたしに優しく喋ってる人は、
憧れの、葉山くんだった。
「あ、あたしでいいなら!」
震える声と呼吸、自分でも分かる。
