年下彼氏の取扱説明書






「結んだ?」

「ん、おっけーだよっ!!!」

あたしはハチマキをリボン結びして
碧斗くんの方を向いて親指を立てて
笑顔でグッドサインを出した。



「最初は右からだから。」

碧斗くんはあたしの肩に自分の手を乗せて
あたしは碧斗くんの脇下に手を入れて
ギュッと半袖の布を掴んだ。



「準備は出来ましたかー…」

放送が響いて係員の生徒が白旗を上げる。



「位置についてー…よーい「「せぇーの!!」」

あたしと碧斗くんの声がハモる。


「「いち、に、いち、に、いち…」」

あたしは必死に碧斗くんの服を掴み
碧斗くんのペースに合わせる。



「先輩、もぉちょっと……」

余裕の無い碧斗くんの声が
斜め上から降ってきて、あたしは
無我夢中で足を動かし続けた。



係員が持ってる白いテープを切る。

「え、やった…!!!」


そう行って左足を上げた瞬間、
足がもつれてバランスが崩れる。

「わ…!!!」

思い切り目を閉じたけど痛みを
感じなくて、そっと目を開けてみる。


「全く。先輩は懲りないね。」

碧斗くんは馬鹿にした目であたしを見た。